中小企業の障害者雇用 成功事例に学ぶ
3つのポイント
監修:山下 勝之(C&C株式会社 代表取締役)
障害者雇用の支援サービス比較メディア「障害者雇用ベンダー比較ナビ」運営責任者。本記事の事例は、複数の中小企業における一般的な取り組みをもとに構成したモデルケースです(特定の実在企業を指すものではありません)。
この記事の事例について:以下で紹介する3つのケースは、専任の人事部門を持たない中小企業に共通して見られる取り組みのパターンをもとに構成した架空のモデルケースです。特定の実在企業の事例ではありません。自社の状況に置き換えて読む「進め方の参考」としてご活用ください。
「うちのような小さな会社に、障害者雇用は難しいのでは」――そう感じる中小企業の担当者は少なくありません。しかし、専任の人事部門がなくても、業務の切り出し方と進め方を工夫することで、無理なく軌道に乗せている企業もあります。この記事では、業種別のモデルケースを通じて、中小企業でも実践しやすい進め方のポイントを紹介します。
📑 この記事でわかること
モデルケース①:製造業(バックオフィス業務の切り出し)
常用労働者50名規模の製造業では、現場作業への配置が難しいと考え、当初は採用を見送っていました。方針を転換したきっかけは、経理・総務のバックオフィス業務のうち、伝票整理やデータ入力など、切り出せる作業を洗い出したことです。最初は週20時間の短時間勤務から始め、本人の状況を見ながら徐々に業務範囲を広げる形で受け入れを進めました。
ポイントは、「現場に配置できないから難しい」で終わらせず、間接部門の中に切り出せる作業がないかを具体的に洗い出したことです。
モデルケース②:小売業(テレワーク型の活用)
複数店舗を展開する小売業では、店舗での接客業務への配置が難しい一方、通勤の負担を減らしたいという要望がありました。そこで、テレワーク型の支援サービスを活用し、在宅での事務作業(データ集計、画像加工、資料作成など)を任せる形を採用しました。
社内に在宅勤務の管理ノウハウがなかったため、最初は外部の支援サービスに業務設計と労務管理のサポートを依頼し、軌道に乗った段階で徐々に自社対応に切り替えています。
モデルケース③:サービス業(人材紹介型からのスタート)
常用労働者40名規模のサービス業では、社内に採用ノウハウがなく、求人を出しても応募が集まらない状態が続いていました。そこで、障害者雇用に特化した人材紹介サービスを利用し、職務経歴だけでなく、配慮事項や適性についても事前にすり合わせたうえで採用を進めました。
紹介会社を通じて入社後のフォローも受けられたことで、受け入れ担当者が手探りにならずに済んだ点が、定着につながった要因のひとつです。
3つのケースに共通する成功ポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 業務を小さく具体的に切り出す | 「配置できる部署がない」で止めず、間接部門やテレワークも含めて業務を洗い出す |
| ② 受け入れ前に役割分担を決める | 誰が指示を出し、誰が相談を受けるかを事前に決めておく |
| ③ 必要な部分は外部サービスを頼る | ノウハウがない業務設計・労務管理・採用は、支援サービスに任せて負担を減らす |
共通しているのは、いずれも「完璧な体制を先に作ってから始める」のではなく、小さく始めて、様子を見ながら調整するという進め方です。中小企業ほど、この柔軟さが強みになります。
自社に置き換えて考えるには
まずは自社の業務の中に、切り出せる作業がないかを棚卸しすることから始めてみてください。次に、社内だけで進められる部分と、外部の力を借りたほうがよい部分を切り分けます。業務の切り出しや採用に不安がある場合は、農園型・テレワーク型・人材紹介型など、複数の支援サービスの資料を比較しながら、自社に合う形を探ることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. この記事の事例は、実在する企業の事例ですか?
A. いいえ。特定の実在企業の事例ではなく、複数の中小企業に見られる一般的な取り組みをもとに構成したモデルケースです。進め方の参考としてご活用ください。
Q. 中小企業でも障害者雇用を軌道に乗せることはできますか?
A. 可能です。業務を小さく具体的に切り出すこと、受け入れ前に役割分担を決めること、必要に応じて外部の支援サービスを活用することが共通のポイントです。
Q. 何人くらいの規模から取り組めますか?
A. 2026年7月からは常用労働者37.5人以上が法定雇用率の対象ですが、対象規模に満たない企業が任意で取り組むケースもあります。規模にかかわらず、小さく始められる業務から着手する進め方が共通しています。
参考・出典
- 厚生労働省「障害者雇用対策」関連公表資料
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)公表資料
※本記事で紹介した事例は、複数の中小企業における一般的な取り組みをもとに構成した架空のモデルケースであり、特定の実在企業の事例ではありません。実際の進め方は企業ごとの状況により異なるため、具体的な検討にあたっては専門の支援サービスや管轄のハローワークへの相談をおすすめします。