ハローワーク vs 障害者雇用支援ベンダー 徹底比較【2026年版】
自社に合う採用経路を選ぶ4つのポイント
監修
山下 勝之(C&C株式会社 代表取締役)
障害者雇用支援サービスの比較・情報提供を専門とする障害者雇用ベンダー比較ナビを運営。
2026年7月の法改正により、37.5人以上の企業が新たに障害者雇用の義務対象になりました。「どこで障害者を採用すればいいのか」と調べると、まず出てくるのがハローワークと支援ベンダー(民間の障害者雇用支援サービス)の2つです。
この記事では費用・対応範囲・定着支援・採用ペースの4軸で両者を比較し、自社の状況に合った選び方を解説します。
この記事でわかること
ハローワークと支援ベンダーの基本的な違い
ハローワーク(公共職業安定所)
- 厚生労働省管轄の無料公的機関
- 求人掲載・マッチングが主な機能
- 全国500か所以上の拠点
- 障害者の求職登録者は約60万人(2024年時点)
- 採用・入社後サポートは原則自社対応
支援ベンダー(民間事業者)
- 有料の民間障害者雇用支援サービス
- 採用〜定着までワンストップで支援
- 就労移行支援事業所・農園型・紹介型など形態が多様
- 費用は紹介型15〜30%・月額型10〜25万円/人が目安
- 採用後の定着・職場適応支援が強み
4軸で徹底比較
| 比較軸 | ハローワーク | 支援ベンダー |
|---|---|---|
| ① 費用 | 無料(求人掲載・マッチング) | 有料(紹介手数料 or 月額制) |
| ② 採用支援の範囲 | 求人票掲載・面接設定・書類選考補助まで | 求人設計〜面接〜内定通知〜入社後定着まで一貫 |
| ③ 定着支援 | 原則なし(別途ジョブコーチ制度あり) | 入社後の職場適応支援・定期訪問が標準的 |
| ④ 採用ペース | マッチングに時間がかかりやすい(数ヶ月〜半年) | スピードはベンダー次第。紹介型は比較的早い |
| 障害特性への専門性 | 窓口担当者による(専門性に差がある) | 精神・発達・身体など専門特化型が多い |
| 法定雇用率カウント | ✅ 採用すればカウント可 | ✅ カウント可(雇用形態・雇用主に依存) |
| 助成金との連携 | ✅ 特開金などの手続きをサポート | △ 案内はするが手続きは自社担当が多い |
ハローワーク活用のメリット・デメリット
メリット
- 費用ゼロで始められる:採用コストを抑えたい中小企業には大きなメリット
- 特開金など助成金手続きのサポートが充実:ハローワークは助成金制度の窓口でもあり、申請の流れを丁寧に案内してもらえる
- 障害者求職者数が最多:ハローワーク経由の障害者求職者は年間約12万人(厚労省令和5年度データ)と最大規模
- 障害者の採用実績が要らない:「障害者採用の経験がない」という企業でも気軽に求人を出せる
デメリット
- 採用後のサポートは自社対応:入社後の職場適応・定着支援は原則として自社の人事が担う必要がある
- マッチングに時間がかかることが多い:求人を出しても数ヶ月〜半年応募が来ないケースもある
- 求人票の書き方のノウハウが社内にない場合は苦戦:障害者向け求人票には記載上の配慮が必要で、初回は担当者に相談しながら作成する必要がある
- 精神障害・発達障害などの専門支援が手薄なケースがある:窓口担当者によって対応力に差がある
支援ベンダー活用のメリット・デメリット
メリット
- 採用〜定着まで一貫して支援:人事担当が障害者雇用の専門知識を持っていなくても、プロのサポートを受けながら進められる
- 初期離職リスクを下げやすい:入社後の職場適応・配慮事項の整理・面談などを支援してくれるため、3ヶ月以内の早期退職を防ぎやすい
- 障害特性への専門対応:精神障害・発達障害・身体障害など、得意とする障害種別に特化したベンダーも多い
- 農園型・サテライト型なら業務設計も丸ごとお任せ:「どんな仕事を任せるか」が決まっていない企業でも始めやすい
デメリット
- 費用がかかる:紹介型は採用成功時に年収の15〜30%程度、月額型は毎月10〜25万円/人が目安
- ベンダーによって品質差が大きい:定着支援の内容・定着率・対応障害種別はベンダーによって異なる。複数社の資料を比較することが重要
- 法定雇用率カウントに注意が必要な形態がある:農園型は雇用主がどちらかで変わる。契約書を確認すること
自社に合う選び方(判断フロー)
あなたはどのタイプ?
A:「まず1〜2名、費用をかけずに試したい」
→ ハローワークで求人を出すことから始めるのが現実的。特開金の活用で採用後のコストも軽減できる。
B:「法定雇用率を早期に達成したい。採用ノウハウがない」
→ 支援ベンダー(紹介型)が合っている。費用はかかるが速度と品質を確保しやすい。
C:「どんな業務を任せるか決まっていない。大人数を一度に採用したい」
→ 農園型・サテライトオフィス型のベンダーを検討。業務設計から担ってもらえる(ただし雇用主の確認必須)。
D:「精神・発達障害の方を採用したいが専門知識がない」
→ 就労移行支援事業所と連携 + 支援ベンダーの組み合わせが有効。定着支援付きで安心。
💡 ハローワークと支援ベンダーの併用もOK
ハローワークで求人を出しつつ、支援ベンダーにも候補者紹介を依頼する「並行活用」は珍しくありません。ただし支援ベンダーによっては「ハローワーク求人との重複不可」を規約で定めているケースもあるため、事前に確認することを推奨します。
助成金活用で費用差は縮まる
ハローワーク経由での採用と比べて支援ベンダーは費用がかかりますが、特定求職者雇用開発助成金(特開金)を活用することで費用差を大きく縮められます。
| 障害種別 | 助成期間 | 助成金額(中小企業) |
|---|---|---|
| 身体・知的障害(重度以外) | 1年 | 最大 120万円 |
| 精神障害 | 3年 | 最大 240万円 |
| 重度身体・知的障害 | 3年 | 最大 240万円 |
特開金はハローワーク経由での採用が条件となるため、支援ベンダー紹介の場合は別途ハローワークへの届出が必要か確認してください。詳しくは助成金まとめ記事もご参照ください。
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ハローワークだけで障害者採用は完結できますか?
採用(マッチング)自体はハローワークだけでも可能です。ただし求人票作成・面接対応・入社後の定着支援は自社で行う必要があります。初めて障害者採用に取り組む企業や社内リソースが少ない企業は、支援ベンダーの活用も選択肢に入れることを推奨します。
支援ベンダーの費用の目安はどのくらいですか?
採用支援型は紹介手数料として年収の15〜30%程度が目安です。農園型・サテライト型などの月額制は1名あたり月額10〜25万円程度かかるケースが多いです。ただし特開金(最大240万円)を活用することで実質コストを大きく下げられます。
ハローワークと支援ベンダーは両方同時に使えますか?
はい、併用できます。ただし支援ベンダーの中には「ハローワーク登録との重複は不可」と規約で定めているものもあります。また支援ベンダー紹介の候補者については、助成金の手続きがハローワーク経由採用時と異なるケースがあります。事前にベンダーに確認することを推奨します。
参考・出典
- ・厚生労働省「令和5年度 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況」
- ・厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金のご案内」
- ・厚生労働省「障害者雇用促進法の概要(令和8年7月施行)」