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比較・選び方

就労継続支援A型・B型・就労移行支援の違い企業人事が知っておくべき3つの福祉サービス

監修

山下 勝之(C&C株式会社 代表取締役)

障害者雇用支援サービスの比較・情報提供を専門とする障害者雇用ベンダー比較ナビを運営。

障害者雇用を検討し始めると、「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労移行支援」という言葉が次々と出てきます。これらはいずれも障害者総合支援法に基づく「福祉サービス」ですが、雇用契約の有無・対象者・工賃・法定雇用率との関係がそれぞれ大きく異なります。

本記事では、企業の人事担当者が「自社の障害者雇用とどう関係するか」という視点で3つのサービスの違いを整理します。

3サービスの基本比較

項目 就労継続支援A型 就労継続支援B型 就労移行支援
雇用契約 あり(事業所と利用者) なし(非雇用型) なし(訓練のみ)
賃金・工賃 最低賃金以上の賃金 工賃(最低賃金適用外) なし(訓練期間中)
平均月額(R4年度) 約 77,000円 約 16,500円
利用期間 制限なし 制限なし 原則2年(最大3年)
目的 就労機会の提供・賃金収入 就労機会の提供・社会参加 一般就労(企業就職)を目指す訓練
主な利用者 精神・発達障害者が多い 重度知的障害者が多い 就労を目指す各種障害者
企業の法定雇用率 カウント不可(A型事業所の雇用) カウント不可 卒業後に自社採用→カウント可

就労継続支援A型とは

ポイント:A型事業所が雇用主。企業の雇用率にはならない。

  • A型事業所(福祉法人・NPO等)が利用者と雇用契約を結ぶ
  • 最低賃金が保証される(都道府県の地域別最低賃金が適用)
  • 農作業・軽作業・データ入力・カフェ運営など多様な業種
  • 令和4年度の平均月額工賃:約77,465円(厚労省調査)

就労継続支援A型は「雇用型」の福祉サービスです。A型事業所が障害者と雇用契約を結んで賃金を支払うため、利用者はA型事業所の従業員であり、企業が委託契約や農園型として使っても自社の法定雇用率にはカウントされません

就労継続支援B型とは

ポイント:非雇用型。工賃は低いが、就労が困難な方の社会参加の場。

  • 雇用契約を結ばず、「工賃」として報酬を支払う
  • 最低賃金の適用がなく、令和4年度の平均月額工賃は約16,507円
  • 農作業・封入作業・清掃・製菓など
  • 重度知的障害者、長期療養後の精神障害者などが多く利用

B型は「非雇用型」であるため、賃金でなく工賃が支払われます。企業がB型事業所に業務を外注(施設外就労)しても、法定雇用率にはカウントされません。

就労移行支援とは

ポイント:企業就職を目指す訓練機関。卒業後に採用すると雇用率カウント可。

  • 一般企業への就労を目指す障害者が、職業訓練・生活習慣改善・実習を行う
  • 期間は原則2年(最大3年)
  • 訓練中は賃金なし(利用者負担は所得に応じて0〜月額37,200円)
  • 全国に約3,500か所以上(2024年時点)
  • 就職率:全体平均で約55〜60%前後(事業所により大きく異なる)

就労移行支援は「訓練機関」であり、企業そのものではありません。ただし就労移行支援を修了した障害者を企業が採用すれば、通常の障害者採用と同じく法定雇用率にカウントできます。また就労移行支援事業所がその後もジョブコーチとして定着支援に入るケースが多く、採用後の離職リスク低減に役立てられています。

企業にとっての重要ポイント

法定雇用率との関係まとめ

ケース 法定雇用率カウント
自社でA型・B型事業所に業務委託する ❌ カウント不可
農園型ベンダーに委託(業務委託型) ❌ カウント不可
農園型ベンダー経由で自社が雇用主になる ✅ カウント可(要確認)
就労移行支援修了者を自社で採用する ✅ カウント可
A型・B型利用者を直接自社で採用する ✅ カウント可

⚠️ 農園型の「雇用主は誰か」に注意

農園型支援を使う場合、雇用契約を結ぶのが自社かベンダーかによって法定雇用率カウントの可否が変わります。契約書で「雇用主」の記載を必ず確認してください。詳しくは農園型障害者雇用のメリット・デメリット記事もご参照ください。

採用チャネルとしての就労移行支援活用法

就労移行支援事業所は、企業への採用チャネルとして積極的に活用できます。事業所に直接連絡して「採用したい障害者のニーズ」を伝えることで、適切な候補者を紹介してもらえる場合があります。ハローワーク経由よりもミスマッチが少ないケースが多く、定着支援が継続して受けられる点も魅力です。

農園型支援との関係

「農園型」「サテライトオフィス型」などとよばれる支援サービスは、企業が土地・施設を用意し、A型またはB型事業所が運営を担う形式が一般的です。

2022年以降、行政から農園型(特に「雇用率のみを目的とした形式的雇用」)に対する規制強化の方向性が示されています。支援会社と契約する際は、厚生労働省・都道府県の最新の指導・通達を確認することを推奨します。

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参考・出典

  • ・厚生労働省「就労継続支援A型・B型事業所の工賃・賃金」(令和4年度実績)
  • ・厚生労働省「就労移行支援の概要」
  • ・障害者総合支援法 第5条(障害福祉サービスの定義)
  • ・厚生労働省「農業分野における障害者の就労支援について」