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法律・制度解説

合理的配慮とは ―職場での具体例と進め方をわかりやすく

公開日:2026年7月5日 / 最終更新:2026年7月5日

🤖 3行でわかる合理的配慮の義務化

  • 障害者差別解消法の改正により、2024年4月1日から民間事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられた。
  • 障害者雇用促進法では、事業主に募集・採用時と採用後の両方の場面で合理的配慮の提供が義務づけられている。
  • 配慮が事業主にとって過重な負担にあたる場合でも、提供義務はなくなるが「何もしない」のではなく、負担が過重にならない代わりの方法を本人と一緒に検討することが求められる。
監修

監修:山下 勝之(C&C株式会社 代表取締役)

障害者雇用の支援サービス比較メディア「障害者雇用ベンダー比較ナビ」運営責任者。本記事は内閣府・厚生労働省の公表資料(障害者差別解消法・障害者雇用促進法の関連指針など)をもとに作成し、内容を確認しています。

合理的配慮は、2024年4月から民間企業にも提供が義務づけられ、障害者雇用を進めるうえで欠かせない考え方になりました。「特別扱い」や「際限のない要求への対応」と誤解されがちですが、実際には本人と対話しながら、無理のない範囲で働きやすさを整える取り組みです。この記事では、意味・法的な位置づけ・具体例・進め方を整理します。

合理的配慮とは(2024年4月から義務化)

合理的配慮とは、障害のある人が、障害のない人と同じように働いたりサービスを受けたりできるよう、状況に応じて行う調整や工夫のことをいいます。障害者差別解消法の改正により、2024年4月1日から、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられました(それ以前は努力義務でした)。

ポイントは、「障害があるから」と一律の対応をするのではなく、一人ひとりの状況に合わせて、個別に調整するという点です。同じ配慮がすべての人に当てはまるわけではありません。

障害者雇用促進法における配慮義務

雇用の場面では、障害者差別解消法とは別に、障害者雇用促進法にも合理的配慮に関する規定があります。事業主には、次の2つの場面で配慮の提供が求められます。

  • 募集・採用時――応募や選考の段階で、障害のある人が不利にならないよう配慮する(例:面接での質問方法の工夫、筆記試験の時間延長など)。
  • 採用後――働き続けられるよう、業務の進め方や職場環境を調整する(例:勤務時間や休憩の配慮、指示の出し方の工夫など)。

つまり、採用の入口から働き続ける段階まで、一貫して配慮が求められる仕組みになっています。

「過重な負担」の考え方

合理的配慮は義務ですが、事業主にとって「過重な負担」となる場合は、その配慮までは求められません。ここでいう過重な負担は、次のような要素を総合的に見て判断されます。

  • 配慮にかかる費用・手間の程度
  • 事業の規模や、企業の財務状況
  • 業務内容や業務体制への影響

重要なのは、過重な負担にあたる場合でも「何もしない」で終わらせないことです。その配慮が難しいときは、負担が過重にならない代わりの方法を、本人と一緒に検討することが求められます。「できません」ではなく「この方法ならできます」を探す姿勢が基本です。

場面別・配慮の具体例

合理的配慮は、高額な設備投資だけを指すわけではありません。むしろ、日々の運用の工夫で対応できるものが多くあります。場面別の一例を整理しました。

場面配慮の具体例
募集・採用時面接で口頭質問だけでなく質問事項を紙で示す/試験時間の延長/面接会場のバリアフリー確認
指示・情報伝達口頭指示を文章や図でも伝える/作業手順書を用意する/専門用語を避ける
勤務時間・体調短時間勤務から始める/通院時間を確保する/休憩を取りやすくする
作業環境刺激の少ない席に配置する/イヤーマフの使用を認める/段差の解消
コミュニケーション定期面談の場を設ける/相談担当者を決める/連絡手段を本人が使いやすいものにする

進め方=本人との「建設的対話」

合理的配慮を提供する際の基本は、建設的対話と呼ばれるプロセスです。事業主が一方的に「これで十分だろう」と決めるのでも、本人の要望をそのまま無条件に受け入れるのでもありません。両者が話し合い、実現可能な落としどころを一緒に見つけることが目的です。

進め方の目安は次のとおりです。①本人が困っていることや希望を聞く → ②業務や職場の状況を踏まえて、対応できる方法を検討する → ③実際に試してみて、必要なら調整する。一度決めて終わりではなく、状況の変化に応じて見直していく姿勢が大切です。

よくある誤解

  • 「際限なく要求に応えないといけない」ではない――過重な負担となる場合は、代替案を検討すれば足ります。
  • 「特別扱い=不公平」ではない――合理的配慮は、スタートラインをそろえるための調整であり、成果や評価を甘くすることではありません。
  • 「大企業だけの話」ではない――事業規模にかかわらず義務の対象です。ただし、求められる配慮の内容は規模や状況によって変わります。
  • 「お金がかかる」とは限らない――運用の工夫や声かけなど、費用をかけずにできる配慮も多くあります。

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よくある質問(FAQ)

Q. 合理的配慮は、いつから義務になったのですか?

A. 障害者差別解消法の改正により、2024年4月1日から、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられました。それ以前は努力義務でした。加えて障害者雇用促進法でも、事業主には募集・採用時および採用後の合理的配慮の提供が義務づけられています。

Q. 「過重な負担」にあたる場合は配慮しなくてよいのですか?

A. 配慮の内容が事業主にとって過重な負担となる場合は、その配慮を提供する義務までは負いません。ただしその場合でも「何もしない」のではなく、本人と対話し、負担が過重にならない代わりの方法を一緒に検討することが求められます。過重かどうかは、費用や事業規模、業務への影響などを総合的に判断します。

Q. 合理的配慮は、本人から言われないと提供しなくてよいのですか?

A. 合理的配慮は、原則として本人からの意思表明をきっかけに検討します。ただし、本人が配慮を求めていることが明らかな場合などには、事業主から声をかけて確認する姿勢も大切です。重要なのは、本人と事業主が対話しながら実現可能な配慮を一緒に見つけていく「建設的対話」のプロセスです。

参考・出典

  • 内閣府「障害者差別解消法」および基本方針
  • 厚生労働省「障害者雇用促進法に基づく合理的配慮指針」関連資料

※本記事は制度の概要を分かりやすく解説するものです。個別の対応の適否は状況により異なります。実際の対応にあたっては、内閣府・厚生労働省の最新の公式情報をご確認ください。

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