障害者の法定雇用率の計算方法
―自社の「雇うべき人数」を自動計算
監修:山下 勝之(C&C株式会社 代表取締役)
障害者雇用の支援サービス比較メディア「障害者雇用ベンダー比較ナビ」運営責任者。本記事は厚生労働省・JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の公表資料をもとに作成し、内容を確認しています。
「自社は障害者を何人雇えばいいのか」――これは 常用労働者数 × 法定雇用率 という一本の式で求められます。ただし、ここで使う「従業員数」の数え方には少しクセがあり、正社員の人数だけで判断すると間違えてしまいます。この記事では、計算の考え方を整理したうえで、自社の数字を入れるだけで義務人数が出る自動計算ツールをご用意しました。2026年7月以降の法定雇用率2.7%に対応しています。
📑 この記事でわかること
自社の人数を入力すると、「常用労働者数」と「雇用が義務となる障害者の人数」を自動で計算します。
正社員・契約社員・フルタイムのパートなど(1人としてカウント)
週20〜30時間のパート・アルバイトなど(0.5人としてカウント)
常用労働者数
0 人
雇用義務人数
0 人
※本ツールは概算です。重度障害者のダブルカウントや除外率設定など、個別の特例は反映していません。正式な義務人数は管轄のハローワークでご確認ください。
法定雇用率とは|計算の基本式
企業には、従業員数に応じた割合で障害者を雇用する義務があります。この割合を 法定雇用率 といい、障害者雇用促進法で定められています。2026年7月1日からは、民間企業の法定雇用率が 2.7% に引き上げられます。
雇用すべき障害者の人数(法定雇用人数)は、次の式で求めます。
常用労働者数 × 2.7% = 法定雇用人数(小数点以下は切り捨て)
たとえば常用労働者が50人の企業なら、「50 × 0.027 = 1.35」となり、小数点以下を切り捨てて 1人 が義務となります。式そのものは難しくありませんが、ポイントは左側の「常用労働者数」をどう数えるかにあります。
「常用労働者数」の正しい数え方
「うちは正社員が30人だから対象外」と判断するのは早計です。法定雇用率の計算に使う常用労働者数は、パート・アルバイトを含めた労働時間ベースで換算するためです。
労働時間によるカウントルール
| 週の所定労働時間 | カウント |
|---|---|
| 30時間以上 | 1 人 |
| 20時間以上30時間未満(短時間) | 0.5 人 |
| 20時間未満 | 原則カウント対象外 |
この「短時間労働者は0.5人」というルールがあるため、計算結果に .5 が出てきます。義務の対象となる規模が「37.5人以上」と半端な数字になっているのも、この0.5刻みのカウントが理由です。
たとえば「フルタイム30人+週25時間のパート16人」の会社では、30 +(16 × 0.5)= 38人 が常用労働者数となり、37.5人以上の基準を満たすため 義務の対象 になります。上の自動計算ツールに同じ数字を入れると、この結果を確認できます。
従業員数別・義務人数の早見表
常用労働者数ごとに、2026年7月以降の法定雇用人数を整理しました(すべてフルタイム換算の概算)。
| 常用労働者数 | 計算(×2.7%) | 雇用義務人数 |
|---|---|---|
| 〜37人 | 1.0未満 | 義務なし(0人) |
| 37.5〜74人 | 1.01〜1.99 | 1 人 |
| 75〜111人 | 2.02〜2.99 | 2 人 |
| 112〜148人 | 3.02〜3.99 | 3 人 |
| 149〜185人 | 4.02〜4.99 | 4 人 |
出典:厚生労働省「障害者雇用率制度について」、JEED(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)公表資料をもとに作成。境界付近の人数は労働時間の換算により前後するため、目安としてご利用ください。
計算でよくある3つの間違い
① 正社員の人数だけで判断してしまう
最も多い誤りです。前述のとおり、週20時間以上のパート・アルバイトも0.5人として換算します。正社員が少なくても、短時間スタッフが多い小売・飲食・サービス業などでは、気づかないうちに対象規模に達していることがあります。
② 端数を切り上げてしまう
法定雇用人数の計算では、小数点以下は 切り捨て ます。「1.9人だから2人」ではなく、1.9人なら義務は1人です。切り上げと取り違えると、必要以上の負担を見込んでしまいます。
③ 「100人以下だから納付金が必ずかかる」と誤解する
障害者雇用納付金(不足1人あたり月5万円)の対象は、常用労働者 101人以上 の企業です。100人以下の企業に納付金の支払い義務はなく、行政指導が中心となります。一部に「必ず納付金が発生する」という不正確な説明が見られますが、規模によって扱いが異なる点に注意してください。
人数が分かったら、次にやること
自社の義務人数が分かったら、次は「どう雇用するか」の検討です。障害者雇用の進め方には、自社採用のほか、農園型・テレワーク型・人材紹介型・業務切り出し型など複数の選択肢があり、自社の業種・拠点・予算によって向き不向きが分かれます。
受け入れ体制づくりや採用には数ヶ月かかることが一般的です。義務化の期日から逆算して、早めに各支援サービスの内容と費用を比較しておくと、選択肢を持って判断できます。
よくある質問(FAQ)
Q. パート・アルバイトも従業員数に含めますか?
A. 含めます。週30時間以上は1人、週20〜30時間未満は0.5人として換算します。週20時間未満は原則対象外です。
Q. 障害者を1人雇うと、カウントはどうなりますか?
A. 雇用する障害者側にもカウントルールがあります。週30時間以上は1人、短時間(週20〜30時間未満)は原則0.5人です。重度の身体・知的障害者は1人を2人分とカウントする特例もあります。詳細は管轄のハローワークでご確認ください。
Q. 計算した人数は、いつ報告するのですか?
A. 毎年6月1日時点の雇用状況を、ハローワークに報告する義務があります(通称「ロクイチ報告」)。常用労働者の数え方は本記事と同じ考え方です。
参考・出典
- 厚生労働省「障害者雇用率制度」「障害者雇用納付金制度」
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)公表資料
※本記事および計算ツールは制度の概要を分かりやすく解説・概算するものです。重度障害者のダブルカウント、除外率、最新の数値・運用、個別の判断については、必ず厚生労働省・管轄のハローワーク等の公式情報をご確認ください。