障害者雇用の助成金まとめ
―主な制度と申請の流れをわかりやすく解説
監修:山下 勝之(C&C株式会社 代表取締役)
障害者雇用の支援サービス比較メディア「障害者雇用ベンダー比較ナビ」運営責任者。本記事は厚生労働省・JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の公表資料をもとに作成し、内容を確認しています。
障害者を雇用する企業には、採用や職場環境の整備にかかる負担を軽くするための助成金制度が複数用意されています。ただし、制度ごとに対象者・雇用形態・申請のタイミングが異なり、「知らないうちに申請期限を過ぎていた」というケースも少なくありません。この記事では、中小企業が押さえておきたい主な助成金を整理し、申請の流れと注意点を解説します。
📑 この記事でわかること
障害者雇用でもらえる助成金の全体像
障害者雇用に関する助成金は、大きく分けて「①採用時に受け取れるもの」「②職場環境の整備にかかった費用の一部を補うもの」の2種類があります。多くはハローワークまたは独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が窓口となっており、雇用保険適用事業所であることなど、共通の要件があります。
| 分類 | 代表的な助成金 | 目的 |
|---|---|---|
| 採用時 | 特定求職者雇用開発助成金(特開金) | 継続雇用を前提とした採用への支援 |
| 採用時 | トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース) | お試し雇用期間中の負担軽減 |
| 環境整備 | 障害者作業施設設置等助成金 | 作業に必要な施設・設備の整備費用 |
| 環境整備 | 障害者福祉施設設置等助成金 | 休憩室・相談室など福祉施設の整備費用 |
特定求職者雇用開発助成金(特開金)
ハローワークや職業紹介事業者などの紹介により、障害者を継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に支給される助成金です。障害の程度や労働時間によって支給額・支給期間が異なり、重度の障害がある方や精神障害がある方を雇用する場合は、支給額が手厚く設定されているのが特徴です。
支給額は対象者の区分・企業規模・支給対象期ごとに細かく定められているため、正確な金額は雇い入れ時点の最新の支給要領で確認する必要があります。おおまかな傾向として、短時間労働者より通常の労働時間で雇用する場合、また障害の程度が重いほど、支給総額・支給期間ともに手厚くなります。
トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)
障害者の就労経験の不足などから、いきなりの継続雇用が難しい場合に、一定期間(原則3ヶ月、精神障害者は最長12ヶ月)の試行雇用を行う事業主に対して支給される助成金です。企業側にとっては、適性を見極めながら受け入れ体制を整えられるというメリットがあります。
支給額は月額ベースで設定されており、精神障害者を短時間(週10〜20時間)から試行的に雇用する場合には、別枠の支給区分が用意されています。トライアル雇用を経て継続雇用に移行した場合は、前述の特開金の対象になることもあります。
職場環境の整備に使える助成金
採用した障害者が働きやすい環境を整えるための費用も、一部助成の対象です。代表的なものに、作業を行うための施設・設備を整備する障害者作業施設設置等助成金と、休憩室や相談室など福祉面の施設を整備する障害者福祉施設設置等助成金があります。
いずれも整備費用の一部(上限あり)が助成される仕組みで、対象となる設備の種類や助成率は制度ごとに定められています。設備投資を伴う受け入れを検討している場合は、着工前にJEEDへ相談し、対象となるかを確認しておくことが重要です。
助成金と「調整金・報奨金」の違い
助成金としばしば混同されるのが、障害者雇用納付金制度による調整金・報奨金です。これは、法定雇用率を満たしている企業(常用労働者101人超の場合は調整金、100人以下の場合は報奨金)に対し、納付金を財源として支給されるもので、雇用促進のための「助成金」とは制度上の位置づけが異なります。
自社が対象になるかどうかは、常用労働者数と実際の雇用状況によって変わります。詳しい仕組みは、法定雇用率の計算方法や納付金制度を解説した記事もあわせてご確認ください。
申請の流れと注意点
基本的な流れ
- 雇用計画の段階で、ハローワークまたはJEEDの窓口に事前相談する
- 要件を満たす形(紹介経由・雇用形態など)で採用する
- 雇い入れ後、決められた期日までに支給申請書を提出する
- 審査を経て支給決定・振込
注意したい3つのポイント
① 申請期限が短い制度がある。制度によっては、雇い入れ後の決められた期間内に申請しないと対象外になります。採用が決まった時点で、どの助成金が使えそうかを確認しておくと安心です。
② 採用経路の要件がある。特開金など一部の助成金は、ハローワークや適格な職業紹介事業者を通じた採用であることが条件です。自社サイトなどで直接応募を受けた場合は対象外になることがあります。
③ 制度は改定される。支給額や対象区分は年度ごとに見直されることがあります。本記事の内容は概要であり、実際の申請にあたっては、必ず厚生労働省・JEEDの最新の公表資料、または管轄のハローワークで確認してください。
助成金の活用も含めて、進め方をまとめて相談
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Q. 障害者を雇用すると、必ず助成金がもらえますか?
A. 自動的に支給されるわけではありません。雇用形態や採用経路など、助成金ごとの要件を満たし、期日までに申請する必要があります。
Q. 助成金と納付金は関係がありますか?
A. 助成金は雇用促進のための給付金、納付金は法定雇用率が未達の企業が納める金銭で、別の制度です。納付金を財源とした調整金・報奨金という給付もあり、混同されやすいため注意してください。
Q. 支援ベンダーを使うと助成金の申請も代行してもらえますか?
A. サービスによって対応範囲が異なります。申請書類の作成支援まで行う事業者もあるため、比較検討の際に対応可否を確認することをおすすめします。
参考・出典
- 厚生労働省「障害者を雇用したときに活用できる助成金」
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)公表資料
※本記事は各助成金制度の概要を分かりやすく解説するものです。支給額・支給要件・申請期限は年度により改定されることがあるため、実際の申請にあたっては必ず厚生労働省・JEED・管轄のハローワーク等の最新の公式情報をご確認ください。