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法律・制度解説

障害者雇用の助成金まとめ【2026年版】もらえる金額・申請先・注意点を一覧解説

監修

山下 勝之(C&C株式会社 代表取締役)

障害者雇用支援サービスの比較・情報提供を専門とする障害者雇用ベンダー比較ナビを運営。厚生労働省・JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の一次情報をもとに、中小企業の人事担当者向けに制度解説コンテンツを監修。

「障害者を採用すると助成金がもらえると聞いたが、種類が多くてよくわからない」——そんな声をよく聞きます。障害者雇用に関連する助成金は、ハローワーク管轄(厚生労働省系)JEED管轄(独立行政法人)の2系統に大きく分かれ、合計すると10種類以上あります。

本記事では、中小企業の人事担当者が実際に活用しやすい主要助成金を厳選し、金額・要件・申請先・注意点をまとめました。

⚠️ 金額・要件は変更される場合があります

本記事の金額・要件は厚生労働省・JEEDの公表情報(2026年6月時点)をもとに作成していますが、年度改定や法改正で変更になる場合があります。申請前に必ず最新の公式情報を確認してください。

助成金の全体像(2系統・8種類)

障害者雇用関連の助成金は、申請先によって大きく2系統に分かれます。

系統 主な助成金 申請先
ハローワーク系 特定求職者雇用開発助成金(特開金)
トライアル雇用助成金
最寄りのハローワーク
JEED系 障害者作業施設設置等助成金
障害者介助等助成金
職場適応援助者助成金
重度障害者等通勤対策助成金
障害者福祉施設設置等助成金
重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金
JEED各都道府県支部

「採用時に一時金をもらう」のがハローワーク系、「職場環境整備・定着支援に使う」のがJEED系というイメージです。2系統の助成金は原則として重複して申請できます

特定求職者雇用開発助成金(特開金)

障害者採用時に最もよく利用される助成金です。ハローワーク等の紹介で採用した場合に、支払った賃金の一部が支給されます。

支給額の目安

対象者の種別 助成率 支給期間 上限額(目安)
身体障害者・知的障害者
(週30時間以上)
1/2(中小企業は2/3) 2年間 最大 120万円
重度身体・重度知的障害者、
精神障害者(週30時間以上)
1/2(中小企業は2/3) 3年間 最大 240万円
短時間労働者(週20〜30時間)
身体・知的障害者
1/2(中小企業は2/3) 1年間 最大 30万円
短時間労働者(週20〜30時間)
重度・精神障害者
1/2(中小企業は2/3) 1.5年間 最大 45万円

📌 中小企業(常用労働者300人以下)は助成率が高い

大企業の助成率が賃金の1/2なのに対し、中小企業は2/3と優遇されています。2026年7月から新たに義務化される37.5人〜100人規模の企業はほぼ全て中小企業に該当します。

主な受給要件

トライアル雇用助成金(障害者対象)

最長3ヶ月の「試用期間」を設けて障害者を雇用した際に、事業主に月額助成金が支給される制度です。採用前のマッチング確認として活用できます。

対象者 月額助成額 最大支給額
精神障害者・発達障害者 月額 40,000円 最大 120,000円(3ヶ月)
重度身体・重度知的障害者 月額 25,000円 最大 75,000円(3ヶ月)
その他の障害者 月額 25,000円 最大 75,000円(3ヶ月)

トライアル雇用終了後に引き続き雇用することで、特開金の受給も可能になります(一定要件を満たす場合)。

JEED管轄の助成金6種

JEEDが管轄する助成金は、採用時の一時金ではなく「職場環境の整備」「定着支援」に使うものが中心です。

① 障害者作業施設設置等助成金

障害者が働きやすいよう、作業設備・機器・改造工事などを行った場合に費用の一部を助成。

項目内容
助成率2/3(上限 450万円)
対象機器・設備・車両・建物改造等
申請先JEED都道府県支部

② 障害者介助等助成金

障害者に介助者・業務遂行援助者を配置した場合の人件費などを助成。

項目内容
助成額支給額:介助者配置で月額 最大8万円(種別・時間数により変動)
対象介助者・業務遂行援助者・手話通訳担当者の配置
申請先JEED都道府県支部

③ 職場適応援助者(ジョブコーチ)助成金

外部の職場適応援助者(ジョブコーチ)を活用した場合に、支援費用を助成。障害者の職場定着に特に有効で利用者が多い制度です。

項目内容
助成額1人につき最大 144,000円(標準型・集中支援加算あり)
対象JEEDまたは社会福祉法人等のジョブコーチ利用費用
申請先JEED都道府県支部

④ 重度障害者等通勤対策助成金

重度障害者等の通勤を容易にするため、送迎バス・住宅の賃借などを行う場合に助成。

⑤ 障害者福祉施設設置等助成金

障害者のための保健施設・給食施設等を設置した場合に助成(大企業寄りの制度で中小企業の利用は少ない)。

⑥ 重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金

重度障害者を多数雇用する事業所が施設・設備を設置した場合に助成(法定雇用率を大きく上回る雇用が条件)。

JEED助成金 比較一覧

助成金名 用途 中小企業の使いやすさ
障害者作業施設設置等 設備・機器・改造 ★★★(最頻利用)
障害者介助等 介助者・援助者の人件費 ★★★
職場適応援助者(ジョブコーチ) 定着支援・ジョブコーチ費用 ★★★(精神・発達に特に有効)
重度障害者等通勤対策 送迎・住宅賃借 ★★(重度障害者採用時)
障害者福祉施設設置等 保健・給食施設 ★(大企業向け)
重度障害者多数雇用事業所 多数雇用事業所の施設 ★(特殊ケース)

申請の流れと注意点

特開金の申請フロー

  1. ハローワークに求人票を提出し、障害者求人として公開する
  2. ハローワーク(または紹介会社)の紹介状をもらい採用面接・内定
  3. 採用日以降、すみやかに「特定求職者雇用開発助成金支給申請書」をハローワークへ提出
  4. 6ヶ月ごとに支給申請(賃金台帳・出勤簿などを添付)
  5. 要件審査後に支給

🚫 よくある落とし穴

  • 採用後に申請を忘れると遡及申請できない場合がある
  • 紹介状なしの直接採用は特開金の対象外になることがある
  • 支給期間中に雇用契約を変更すると支給停止になる場合がある
  • 支給対象期間中に賃金未払いがあると審査で不支給になる

JEED助成金の申請フロー

  1. JEED各都道府県支部に相談・申請書を入手
  2. 必要書類を揃えて申請(設置・整備完了前に申請が必要な場合もあり)
  3. 審査・確認後に支給

組み合わせ活用例:精神障害者を1名採用した場合

想定:精神障害者を週30時間以上で採用(中小企業・月給20万円)

助成金 受取見込み額
トライアル雇用助成金(3ヶ月) 最大 120,000円
特定求職者雇用開発助成金(3年) 最大 2,400,000円
ジョブコーチ助成金 最大 144,000円
合計受取見込み 最大 約 264万円

※ 上記は制度上の上限額の合算例です。実際の支給額は賃金水準・勤務時間・要件充足状況によって異なります。

よくある疑問 Q&A

Q. 農園型支援を使う場合も助成金はもらえますか?

農園型(施設外就労型)の支援ベンダーに委託する形でも、雇用するのが自社であれば特開金等の対象になります。ただし雇用主が自社でなく、ベンダー(支援会社)になる「業務委託型」の場合は自社雇用とならないため助成金の対象外です。契約形態を確認してください。

Q. 助成金申請のために社労士に依頼すべきですか?

必須ではありませんが、書類が多く複雑なため、社会保険労務士(社労士)に依頼する企業は少なくありません。費用は助成金額の10〜20%前後が目安です。ハローワークの窓口でも相談には乗ってもらえます。

Q. 助成金は確実にもらえますか?

要件を満たしていれば原則支給されますが、「確実」とは言い切れません。書類不備・要件違反・申請期限超過などで不支給になるケースもあります。申請前にハローワークまたはJEEDに要件を確認することを強くお勧めします。

参考・出典

  • ・厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
  • ・厚生労働省「トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)」
  • ・独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「事業主の方への助成金」
  • ・障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)第49条〜第74条

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